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FMインキの皮膜性能改善方法
FMインキが成形時に樹脂の熱により流れる問題の対策としては、硬化性を向上させる方法が効果があります。
具体的には、(1)硬化促進剤JA-E111を添加する。(2)硬化温度を高く、硬化時間を長くする。の2つの方法があります。
インキの硬化性を向上させるとインキ皮膜の耐久性が向上し、接着性、耐熱性、耐溶剤性等様々な性能が向上します。
(1)硬化促進剤JA-E111を添加した場合と(2)硬化温度を高く、時間を長くした場合のインキ皮膜の耐溶剤性を比較したデータは以下通りです。
耐溶剤性の向上を調べることは、耐熱性向上の目安となります。
(1) JA-E111の添加
FM-3101白にFM硬化剤を15%添加し、これに硬化促進剤JA-E111を2%、4%添加して80℃で20分で硬化させると、耐溶剤性が下表のように向上します。
この結果より、硬化促進剤JA-E111を2%添加で耐溶剤性が約2倍、4%添加では約3倍に向上することが分かります。
尚、硬化促進剤JA-E111はインキと硬化剤の反応速度を速くしますので、ポットライフ(可使時間)が短くなります。
(下表参照)
JA-E111 添加量 | 耐溶剤性 | ポットライフ(25℃) | |
---|---|---|---|
キシレン | MIBK | ||
無添加 | 約30回摩耗で剥離 | 約5回摩耗で剥離 | 約24時間 |
2% | 約50回摩耗で剥離 | 約12回摩耗で剥離 | 約16時間 |
4% | 約80回摩耗で剥離 | 約18回摩耗で剥離 | 約8時間 |
(2) 硬化温度と時間
FM-3101白にFM硬化剤を15%添加し、これに硬化促進剤JA-E111を2%添加したインキを70℃で硬化させた場合と80℃で硬化させた場合、耐溶剤性が下表のように変わります。
この結果より硬化温度が高く、硬化時間が長いほど耐溶剤性が向上することが解ります。
温度 | 時間 | キシレン | MIBK |
---|---|---|---|
70℃ | 20分 | 約20回摩耗で剥離 | 約4回摩耗で剥離 |
40分 | 約45回摩耗で剥離 | 約13回摩耗で剥離 | |
80℃ | 20分 | 約50回摩耗で剥離 | 約12回摩耗で剥離 |
40分 | 約135回摩耗で剥離 | 約35回摩耗で剥離 |